和の匠とその逸品
石井 弘芳
江戸表具
表具には、掛軸や巻物などの軸物・屏風、和額、襖(骨下地物)等があります。
いずれも材料は和紙、織物や反物の生地である裂地(きれじ)、水、のりとシンプルですが、紙に水やのりを伸ばす際の刷毛さばきなどには、非常に高度な技術が必要となってきます。
江戸時代から続く表具師石井三太夫の15代、石井弘芳氏が作るのは表具のみにとどまらず、浅草のお寺などの内装/障壁画などの修復も行います。
益田 大祐
指物
「指物」とは、外側に組み手を見せず、金釘(かなくぎ)も使わずに組み立てられた木工品のことです。指物の名の由来は、木と木を「さし合わせる」からとも、「物さし」を駆使するからともいわれています。
指物の歴史は平安時代(794~1185/1192年)の宮廷文化までさかのぼることができ、当時は大工により作られていました。専門の指物師が生まれるのは室町時代(1336~1573年)以降、棚や箪笥(たんす)類、机などの調度品が武家生活に必要とされ、また茶の湯の発達に伴い箱物類などへの需要が増えたことが背景にあるといわれます。指物益田の公式ホームページはこちら。
相澤 彰宏
江戸表具
表具をする技術は、掛軸をはじめ衝立、屏風、襖、天井・壁張りなどに生かされています。表具は床の間の発生や茶道により需要が増え、江戸時代には上流社会に欠かせない美術工芸・調度品となりました。
写真の風炉先屏風は茶室で使われるものです。屏風作りの主な工程は、骨格の上に下張り、上張りの順に紙を張り重ね、最後に外枠の縁をはめ込みます。
からくり屏風は、江戸時代から伝わるからくり玩具「パタパタ」の技術を生かしたもので、板をひっくり返すと裏返しになり縦にも横にも使えます。「伝言を挟んだり、絵・写真・ドライフラワーを飾って現代のインテリアとして楽しんで使ってほしい」と相沢さんは薦めています。
田中 耕太郎
江戸簾
日よけ・目隠しとしての外掛すだれ、間仕切り・御簾としての内掛すだれ、障子・屏風などの応用すだれ、巻き簾・蕎麦すだれ・ランチョンマットなどの小物すだれに仕立てられる江戸簾。それらを製作している「江戸すだれ 田中製簾所」は明治初期の創業。5代目の田中耕太朗さんは職人歴30年以上で、東京都伝統工芸士にも認定されています。
小曽根 涼一
畳
畳は、世界に類がない日本固有の文化である。畳の原点は古代から存在する。古代の畳は、莚(むしろ)・茣蓙(ござ)・菰(こも)などの薄い敷物の総称であり、使用しないときは畳んで部屋の隅に置いたことから、動詞である「タタム」が名詞化して「タタミ」になったのが語源とされる。
現代の畳に近づくのは平安時代に入ってからであり、厚みが加わるとともに部屋に据え置いて使うようになり、大きさの規格化が進められている。延喜式では、階級により大きさや縁の色が定められている。
平安時代までは板床に敷くクッションの一種のような感覚で使われていた。室町時代に入ると、書院造の登場によって部屋全体に畳を敷く様式があらわれ[1]、移動させることがなくなった畳はより分厚く重くなり、茶道の拡大に伴い、正座と共に普及していった。
江戸時代に入ると、畳そのものが重要な建築物の要素として見なされるようになり、城や屋敷の改修工事を司る役職として畳奉行が任命される例も見られた。
小曽根畳店の公式ホームページはこちらから。